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じつは身近な半導体の話|クルマとの関係をゆるっと紹介②

2025.12.26  ケイカフェお知らせ広場, ケイカフェコラム 

前回は、「そもそも半導体って何?」「車のどこで使われているの?」という基本の部分を紹介しました。今回はもう一歩踏み込んで、「なぜ半導体が不足してしまうのか」「不足すると車の納期や中古車の価格にどんな影響が出るのか」をわかりやすく整理します。

ニュースでは“半導体不足”という言葉が頻繁に出てきますが、実際のところ「なぜ起きるのか?」「何がそんなに大変なのか?」は意外と知られていません。専門的な話ではありますが、仕組みさえ理解すれば納期遅延や中古車高騰の理由にも納得できます。できる限り柔らかく説明しますので、肩の力を抜いて読んでみてください。


なぜ半導体不足は起きるのか?

世界的な需要増加と生産能力のギャップ

結論から言うと、「欲しい人(企業)が一気に増えたのに、作る工場は簡単に増やせなかった」——それが半導体不足のスタートです。
半導体はスマホ、パソコン、ゲーム機、家電、そして車など、あらゆる製品に使われています。コロナ禍で在宅時間が増えたことでデジタル製品の需要が一気に伸びました。その一方で、半導体を製造する工場は巨大で、増設には数年単位の時間と莫大な投資が必要。需要の増加スピードと供給能力に大きな差が生まれてしまったのです。

また、半導体の生産拠点は世界の限られた地域に集中しており、ひとつの工場が停止すると供給全体に影響が出ます。車業界も他業界と同じ半導体を必要とするため、取り合い状態になり、結果的に車用の半導体確保が難しくなりました。

Q. なぜそんなに簡単に増産できないの?
A. 半導体工場は特殊な設備が必要で、1つの設備入れ替えだけでも数ヶ月かかるため、フットワーク軽く生産量を上げるのが難しいのです。


車載専用半導体は“簡単に代替できない”構造的理由

車に使う半導体は、実はスマホや家電の半導体とは“別物”です。理由は、車が走行中に受ける熱、振動、湿度、静電気といった過酷な環境に耐えなければならないためです。

そのため、車載用半導体は「耐久性」「安全性」「長寿命」が強く求められ、専門メーカーが高い基準で製造しています。つまり、ほかの製品向けに作られた半導体と“流用”することができず、代わりの部品を簡単に用意できないのです。

さらに、車載用半導体は自動車メーカーごとに細かい設計が異なるため、ひとつ工場が止まると代わりの工場ですぐに作れるわけではありません。これが、半導体不足が長期化した理由の大きなひとつです。

Q. スマホ向けの半導体を使えばいいんじゃない?
A. 見た目は似ていても、耐久性・温度耐性がまったく違うため、車には使えません。


工場トラブル・物流停滞など複合的な要因

半導体不足は「ひとつの原因」ではなく、複数の出来事が重なった結果です。たとえば、

  • 工場の火災や地震など自然災害
  • コロナ禍での物流停滞(船・飛行機の遅れ)
  • 特定メーカーに注文が偏る生産構造
  • 材料価格の高騰や生産ラインの老朽化

などが複合的に重なり、供給が不安定になりました。半導体は世界各地で部分ごとに生産され、最終的に組み立てられるため、どこかひとつでも問題が起きると完成が遅れます。

以下は半導体のサプライチェーンを簡単にまとめた表です。

工程特徴
設計各メーカーが電子制御の内容を設計
ウエハー製造高度な設備が必要で生産地が偏る
チップ加工微細加工が必要で工程が長い
パッケージング車載向けは“耐久試験”が厳しい
検査・出荷問題があれば全量ストップも

これらのどこかでトラブルが起きると、車の製造が直接遅れてしまうのです。


半導体不足と車の納期遅延の関係を深掘り

なぜ特定のグレードだけ納期が長くなることがあるのか

まず結論として、人気のグレードほど納期が長くなる可能性があります。
理由はシンプルで、「装備が多い=必要な半導体が多い」ためです。たとえば、フルLEDライト、デジタルメーター、大型モニター、安全支援機能などが付いた上位グレードは、標準グレードよりも使われる半導体が多くなります。

また、メーカー側も生産ラインを効率化するため、「半導体の在庫が揃っているグレード」を優先することがあります。その結果、Aグレードはすぐ納車できるのに、Bグレードだけ数ヶ月待ち、という状況が起きるのです。

Q. グレードで使う部品はそんなに違うの?
A. 安全機能やモニターなど“電子部品”はグレード差が大きく、半導体の必要量も変わってきます。


人気車種・人気装備ほど半導体の需要が集中する理由

人気車種になるほど受注が増え、結果的に必要な半導体の数量も膨大になります。これは単純に“台数が多い”という理由に加えて、「人気装備」にも半導体が集中しやすいからです。

よくある人気装備として、

  • 大型ナビゲーション
  • 360度カメラ
  • 電動パーキングブレーキ
  • 安全支援パッケージ

などがありますが、いずれも半導体が大量に使われます。とくに安全機能は装着率が高く、車種を問わず欠かすことができません。そのため、特定の車種や装備に注文が集中すると、供給が追いつかず納期遅れにつながります。


在庫車・即納車が「納期リスク」を避けられる仕組み

意外と知られていませんが、在庫車・即納車はすでに“完成済みの車”です。
つまり、必要な半導体もすべて揃っていて、工場ラインを通して完成されているため、半導体不足による影響を受けにくい特徴があります。

在庫車が納車まで早い理由を整理すると、

  • すでに半導体を使って完成している
  • 輸送待ちや登録手続きをすればすぐに納車できる
  • グレードや装備の選択がすでに済んでいる

という点が大きいです。「どうしても急いで車が必要」「納期を気にしたくない」という人には、在庫車が合理的な選択肢になります。


中古車価格が高騰する理由

新車の納期遅延が中古車市場に与える影響

結論として、新車が手に入りにくくなると、その代わりに中古車に人が流れ、価格が上がりやすくなります。
これは、需要と供給のバランスが原因です。新車の納期が数ヶ月~1年以上という状況になると、すぐ乗れる中古車に注目が集まります。

さらに、車は日常生活に欠かせないため、「すぐ使いたい」という理由で中古車を選ぶ人が増えると、市場全体で価格が上がりやすくなります。とくに軽自動車やハイブリッド車は需要が高く、価格が落ちにくい傾向があります。


EVやハイブリッド人気で中古車の価格が動きやすい背景

最近は、燃費や環境性能への関心が高まっており、EVやハイブリッド車の人気が上昇しています。これらの車は新車価格がやや高めで、製造過程でも多くの半導体が使われています。そのため、半導体不足などによって納期遅延が起こると、購入希望者が中古車へと流れやすくなる傾向があります。

また、電動車はモデルチェンジのたびに性能が向上しやすいため、旧モデルであっても価値が急激に下がりにくいという特徴があります。その結果、人気のある車種は中古車市場でも価格が安定しやすく、相場が高止まりする要因のひとつとなっています。


半導体不足が“売り時・買い時”に影響するポイント

半導体不足は、車を買うタイミングだけでなく、売るタイミングにも影響します。

  • 新車が不足 → 中古に需要集中 → 売値が高くなる
  • 人気装備の車 → 半導体不足で価値が下がりにくい
  • すぐ乗れる中古車 → 相場が高く安定しやすい

といった流れが生まれます。つまり、半導体不足の時期は「売り手有利」になることが多く、高値で手放せる可能性が高くなります。一方、購入する側は“相場の上昇”を念頭に置き、車選びの優先順位を明確にする必要があります。


まとめ

今回は、「なぜ半導体不足が起きるのか」「なぜ車の納期が延びやすくなるのか」「中古車が高騰しやすい理由は何か」を整理しました。半導体不足は一時的なニュースではなく、世界的な需要増加や車の電子化、EV化と深くつながっている現象です。

半導体は代わりがきかないため、少しのトラブルでも車の生産や納期に影響します。また、新車が不足すると中古車市場にも波及し、価格が上がることがあります。背景を知っておくことで、車選びの判断材料として役立ちます。

次回は、「電動化が進む未来に半導体がどう関わるのか」「半導体不足時代の賢い車選び」についてさらに深掘りしていきます。気になる方はぜひ続けてご覧ください。